スロウでは高齢犬も対応致します
早いものでスロウがオープンして1か月が経ちました。集客にはまだまだ苦戦しておりますが、それでもチラシやSNSを見て多くのお客様が来てくださいました。本当にありがとうございますm(__)m
この1か月で数多くの個性豊かなわんちゃんが来てくださいましたが、なかでも今後のスロウの経営方針を考えさせられる子と出会いました。今回はその話です。
とある日、一本の電話がかかってきました。ご予約の電話だったのでいつも通り日付とお名前等をお聞きし、最後にわんちゃんの年齢を聞きました。そして返ってきた答えは19歳と16歳の2頭でした。
高齢犬にとってトリミングは過度のストレス、心臓の負担となり、最悪の場合施術中に亡くなってしまう事もあります。だから高齢犬はトリミングを断られる事もあります。それが19歳ともなれば尚更です。
私も年齢を聞いた時、断った方がいいのではないかと考えました。あまりにもリスクが高い。そしてトリミング中に亡くなってしまった場合、そんな事は犬も望んでいないだろうと思いました。
だけど、飼い主さんの言った一言が私に突き刺さりました。
「19歳の子はこれが最期のトリミングだと思っています」
19年間一緒に生活してきた犬ですから、もちろん愛情があるはずです。そしてトリミング中のリスクも飼い主様も十分把握されていました。
ではなぜトリミングを頼むか。
それは最後に綺麗な姿で逝かせてあげたいのではないか。
私はそう解釈しました。
19歳の子は他のサロンで断られてしまって、もう2年間トリミングされていない子でした。ここで私が断れば、その子はどこも引き受けてくれないかもしれません。そして何より、私は飼い主様の気持ちに応えたいと思いました。
それはあくまで人間同士のやりとりだけで、犬の気持ちではありません。だけど、私はそれをとても重要な、とても意義のある仕事だと感じました。
実際にその子をお迎えすると、寒いのか怖いのか、とても震えていました。だから震えなくなるまで私は抱っこしました。そしてトリマーさんが細心の注意を払いながら施術を行ってくれて、シャンプーは無事に終えましたが、19歳の子は体力的に厳しくトリミングは途中で断念せざるを得ませんでした。だけど見違えるほど綺麗になりました。
飼い主様は心配で仕方なかったと思います。私が車でお家までお連れした時は玄関前で待っておられ、2頭の姿を見るととても喜んでくださいました。
私はペット業界は未経験でした。だけど、そんな私がどうしてトリミングサロンを経営しようと思ったのか。それは他のサロンに行けない犬達の為になりたいからと考えたからです。その時の2頭を通じて、私は自分が何をしたかったのか、改めて自覚する事が出来ました。
賛否両論あるかとは思います。だけど、スロウは高齢犬を断りません。
飼い主様としっかり話し合った上で、可能な限りの対応をさせて頂きます。
それがスロウなりの、高齢犬との向き合い方です。