動物虐待か否か ~もし目撃したら~
今回の投稿はかなりデリケートな内容になります。
ずいぶん前になりますが、とあるわんちゃんの事で相談を受けました。その子は1日の大半を庭で過ごしているのですが、庭はガレキの山で夏場は虫が大量に飛ぶ不衛生な環境でした。日陰はほとんどなく、唯一の暑さをしのげるのが車の下に潜る事です。夜は家の中に入るようですが、家の中の様子まではわかりません。実際に私も庭で過ごしているわんちゃんを見に行きましたが、正直犬が過ごす環境ではないなと思いました。その時相談に来てくれたのはご近所に住む方です。
明石の動物センターに問い合わせ、そのわんちゃんの現状をお話しました。予想していた事ですが、動物虐待には該当しないという事でした。
動物虐待は「積極的虐待」「ネグレクト」等が行われている場合に該当します。積極的虐待とは殴る蹴るの暴力行為、心理的に抑圧し恐怖を与え続ける、何らかの用途で必要以上に犬を酷使する事が挙げられます。
ネグレクトとは世話せず食べものを与えない、病気や怪我を放置、健康管理を怠る等があたります。
つまり暴力を振るわず餌を与えてさえいれば虐待ではなく、他者や行政は介入する事が出来ないという事です。それで十分じゃないかと思うかもしれませんが、不衛生な環境でうんちまみれだったり、夏の日差しの中で外に放り出されていても虐待ではないという事です。飼い主から引き離す事は出来ません。
トリミングサロンをやっていると色んな飼い主とわんちゃんに出会います。中には後味の悪い思いもしました。
勘違いしないでほしいのですが、明石市が悪いわけではありません。現在の日本の法律ではそれで限界だという事です。ですが、行政が何もしてくれないわけでもありません。
虐待でなくて動物センターの職員が自宅まで行き、飼い主さんに生活環境の指導をしてくれます。なのでもしそういう子を見つけたら、諦めることなく行政へ相談してみてください。
個人的な意見ですが、現在の日本の環境で犬を外で飼うのは不可能に近くなってきていると思います。いくら大型犬であっても部屋の中に入れてあげてほしいですが、きちんと日差し対策がされて水が出ていれば虐待にはなりません。
動物に対しての価値観は人によって違います。現在はその最大公約数的なところでしか法律で定められていません。ですが、誰かが行動を起こす事により行政が動いてくれる事もあります。日本はペット後進国だと言われていますが、少しずつですが確実に良くなってきています。これからの動物愛護法に期待しましょう。